特技

特技は、一年くらい前に見たっきりだ。
「……はぁ」
僕はため息をついた。
そして、自分の頬を思い切り叩いた。
パァンと音が響く。
「よっしゃ! やるぞ!」
気合を入れ直し、僕は扉に手をかけた。
ギィイ……と音を立てて開く。
中に入ってみると、そこは小さな部屋だった。
床には赤い絨毯が敷かれている。
壁際には本棚が置かれていて、その中には魔導書や冒険譚といった類の本が並べられていた。