日常

日常とは、まったく無縁なのである。
「どうした?」
と、私は尋ねた。
「ううん」
と、彼女は首を振った。
「なんでもないわよ……」
そして、私に抱きついたまま動かなかった。
3
――その翌日も、私たちは同じ時刻にホテルを出た。
「ねえ、今日はどこかへ行かない?」
ホテルを出るなり、彼女がそう言った。
「どこへ行くんだ?」
「どこでもいいけど……ただドライブするだけじゃつまんないでしょ」